てんちょ〜による異界戦記カオスフレアセッションについての感想

異界戦記カオスフレア「とあるセッションにおけるオープニング〜七城布都の場合〜」


カタンカタン・・・カタンカタン・・・パパー、キッキー

バババババ…ギャー…ドッカーン・・・た、たす・・・・・・

今日もこの街は騒がしい。その空気は血と硝煙の臭いがこびりつき、BGMには必ず銃声と悲鳴が入り込む。ここは大阪、悪徳と暴力が支配する街。
そして私はこの街でいつものように死を振りまく。だが殺す気はない(そういうといつも怪訝な顔をされるのだが)、その証拠に私の武器は木刀だし、腰にさしている真剣は抜いたことがない。ただ手加減する気がないのも事実で、私が得物を振り下ろすといつも相手は死んでしまう。
だから今目の前にいる相手もきっと死んでしまうのだろう。
「た、助けてくれ…たのむ、む、娘がいるんだ…」
目の前の男は(波多野といっただろうか)ふるえながら私に懇願する。無理もない、いきなりの奇襲だったのだ。私とリーダーがまず二人を殺し(確認はしていないが、あの手ごたえでは死んでいるだろう)、騒ぎに気づき奥から駆け付けた3人は雪野が外からの狙撃で片づけた。
戦闘可能なのはふるえている波多野のみ、助けてはやりたくはあるが相手は麻薬の密売人、依頼主である組織に引き渡しても待っているのは見せしめのために「拷問の後の死」である。それに……、
「本気で降伏する気なら武器を捨てろ、銃を下せ」
ふるえながら構える銃はすでに照準が定まっていない。これなら避ける自信がある、というよりあれでは発砲しても当たらないだろう。だから私は無造作に波多野に近寄った。

パパン

「う、う、動くな…」
言葉より銃声が響いた。波多野が引き金を引いたのだ。やはりさっきの懇願は見逃せという意味だったらしい。とりあえず撃ってから「Freeze」はこの街の常とう手段といわれているが(私たちもやってみた経験がある)、相手と正面向かって行われるのには初めて出会う。波多野もよっぽどせっぱつまっているらしい。

パパ、パパパパ、パン

そのまま全弾撃ちつくしたようだ。やはり私には一発も当たらなかったが。だから私はそのまま無言で波多野の前に立つ。手には木刀、構えは蜻蛉。波多野は腰を抜かしたのかしりもちをつき、しかし引き金を引くのはやめない。
まあ、生き残るようならとどめは刺す必要がない仕事だ。波多野の脳天に一撃を入れたあと、ユーリとマイクに息が残っている連中には応急処置をするようにと言っておいた。


仕事が終わりアジトであるリーダーの家に帰る。ふと手に持った紙袋について思いついた。これは依頼として私個人がはじめて引き受けた仕事の護衛対象である。中身は札束なのだが、あとで取りに来ると言っていた依頼主がやってこないまま何カ月も私が持ち続けている。しかし、私の部屋はセキュリティーが低いのでそろそろ盗まれそうな予感がひしひしとしていたのだ。
(ここはアジトの金庫にしまっておいたほうが安全なのかもしれない)
今更ながらにそのことに気づいた私はリーダーに声をかける。
「例の紙袋、ここの金庫にしまっておいてもいいかな」
リーダーの了承をとったあと(理由を話すとなぜか呆れ顔だった)、金庫を開けて紙袋をしまう。
扉を閉めようとすると、ふと金庫の中にある一冊の本に目が向いた。その本の表紙は血で色付けしたかのように赤黒く、それ以上にその本を開けてしまいたくなるようなオーラがただよっている。

――開けてみたい
(開けてはいけない)
――ただの本だ
(危険だ)
――だから開けて・・・
(調べないと・・・)

それは運命の分岐点だったのだろう。このとき私がそのまま本を開けなければ、何事もなく血と硝煙の、悪徳と陰謀の日常に戻ることができたのだ。
だが私は誘惑にあらがいきれず・・・、その本を開けてしまった。
一瞬で視界が暗転する。いや、自分が何かに咀嚼されていることを感じ取ってしまう。顔には何か生臭いたものが張り付き、手を動かそうにも圧迫感がいっぱいでぴくりともせず、足はばたつかせることができたが次第に可動範囲がせまくなっていく。
悪夢を見ているのだろうかと自分の正気を疑ってみようとするも、ごくん、と何かを嚥下するような音を最後に私は意識を失った。


布都が金庫室から戻ってこない。
「おい、どうしたんだ」
声をかけてみたが返事がない。
「布都?」
部屋をのぞくと彼女の愛用の木刀と(たしか武御雷とか名づけていた)、以前に自分がトンデモ本屋で購入した怪しい本のみが金庫の前に落ちており彼女の姿が見えない。
「どこいったんだ?」
不思議に思いながら金庫を閉める。

七城布都、血に濡れた木刀とセーラー服がトレードマークの彼女はその日を境に大阪の街から姿を消した。その理由を知る者はだれもいない。誰も気にしない。誰がが謎の失踪を遂げるのはこの街ではよくあることだからだ。
だから彼がその本はラテン語で「異界への扉」というタイトルであることを知るのはずっとのちのことであり、あるいはどこか異世界にでも行ったのだろうかと考えるようになったのはさらに後のことである。



<あとがき>
このカオスフレアはロールプレイングによってフレアを手に入れるため、TRPGにおけるロールプレイを意識して行うという意味で非常に初心者向きのゲームだと思っています。自分が高校生のとき初めて行ったセッションはガープス妖魔夜行でしたが仲間が非常に面白い演出をロールプレイしているのに自分はデータ的な行動しか行えなかったことが非常に残念に思った記憶があります。大学に入りサークル仲間が一変したときここでもTRPGをやりたいという野望は入部当初から持っていたものです。いろいろなりプレイを読み、勉強して自分がGMをすることを決心したときはすでに1年が過ぎていました。そしてTRPGを再開して1年がたちふと自分のプレイに物足りなさを感じてきました。もっとロールプレイ主体で馬鹿話を笑いながら行いたいと、そうできるようになりたいと考えるようになりました。しかし、自分のプレイヤーとしての未熟さは重々承知している身としてはどうしてもサークル仲間の協力が必要です。どうすれば自然にロールを楽しめるゲームができるのかを考えたとき思いついたのがこのカオスフレアというTRPGなのです。
はじめカオスフレアはロールをしないとプレイ中非常に重要なフレアが入手できないというシステム上ロールが苦手な自分は敬遠してました。しかし、それは圧倒的に誤解だったことに今回気づいたのです。このシステムほどロールが苦手な人間にそして初心者の人間にTRPGにおけるロールプレイの楽しみを教えてくれるゲームはないと感じました。もちろんそう感じることができたのは一緒に楽しんでくれた仲間のおかげです。何が今回のセッションでうれしかったというとぶちょ〜クライマックスにおけるロールプレイに非常に感動したことです。次にうれしかったことがツツミくんのキャラクターとGMがこの布都というキャラクターを導いてくれたことでした。のちにてんちょ〜のTRPG報告により語られると思いますが、この布都というキャラクターはとある状況におちいります。この状況は自分ではなかなか抜け出せないもので、それをきちっと導ききってくれました。でも、おいしいところはぶちょ〜がもっていったため最後の一番大事な演出はくどくなりそうなので自粛しました。あの台詞よりいいロールをする自身はありませんでしたし、ぶちょ〜がああいうことを言ってくれた時点で今回のセッションにおける自分の目標は達成したと感じたからでもあります。


で、はなしは上に書いてあるSSの内容についてなのですが、なぜこんな蛇足めいたことをしているかというと皆さんどうやら私のもちキャラである七城布都という少女を誤解していそうだからです。なんと言うか、彼女を殺人鬼と情報整理のボードに書かれたときは自分の一番のお気に入りのキャラクターであるためこれはなんとしても誤解を解かねばと感じたためです。まあ自分は物書きではありませんし、これを書いたからといって誤解が解けるわけもないのですが。自己満足といわれようとも書かずに入られなかったぐらいこのセッションは楽しかったということです。そしてオリジンの世界でまた彼女を使って遊びたいと考えているということをGMであるてんちょ〜にアピールしているわけでもあります。


そろそろ何を書きたいのかごちゃごちゃしてきましたので最後に、GMであったてんちょ〜をはじめ一緒にプレイした仲間たちに感謝をこめて、


ありがとーーー!めっちゃたのしかったーーーー!!